Thursday 2 November 2017

Mind Function

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私は過去の写真集を集める事が好きで、特に近代のポートレート集には目がありません。私は現代人や未来人に対する好奇心以上に、過去に生きた近代の人達の佇まいや、特に彼等の眼差しにとても強く惹き付けられています。彼等の眼差しは深く、時代背景や貧困状況によってはある種の暗さがあり、重いものです。その重さとは決してネガティブな要素の事を言っているのではなく、私の感覚では『心がそこにある』というイメージです。

『心は、心がそこに集中すべき所にある』というフランスのジャネ(Pierre Janet、1859年〜1947年)の言葉からも連想されるように、注意の集中や心の集中は人の精神的な行為です。意思の機能の1つとして注意を集中させることがあります。呼吸が肺の機能であり、消化が胃の機能であるように。目的感を持って服に注意を集中すると、なんだか服が生き生きしてくるようです。自分にとってその服が生き生きしてくる事と、それを見る相手にとってその服が生き生きしてくる事にはきっと非常に密接な関係があります。服に対する私たちの注意の集中もまた私たち自身の眼差しに変化を与えてくれるので、それが人の内面をより豊かに、より魅力的にしてくれるためかもしれません。1着1着の服の価値は着用者の意思や、あるいは意思の欠如によって変化していくものなのではないでしょうか。





1940's British Military Prisoner's Wool Flannel Coat : LILY1ST VINTAGE
Stockist : BLOOM & BRANCH >>> http://bloom-branch.jp
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com