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Tuesday 26 June 2018



















アントワープ、パリでのマルジェラの展覧会に足を運び、マルジェラというデザイナーや彼らの作品が未だに強い光を放ち続けていることに衝撃を受けると同時に、現代で服に携わるものとしては悔しい気持ちも湧きました。偉い資質、哲学。はぁ。。ため息。。惚れてしまうのと同時に悔しい感情も。自由な価値観があって良い時代、ポスト00年代 ー2010〜2020年代ー に当レーベルは『not replica』というテーマを強く追求したい考えです。過去の美しい匿名服が放つもの、無銘でありながら、現実に時間の淘汰に耐え抜いている服が現代人に与えてくれる何かを大切にご提案できればと思います。 


1970's German Air Force Pilot Blouson "White Leather Model" : LILY1ST VINTAGE
※この服はアポイントの上、東京は渋谷のショールームでご覧頂く事ができます >>> CONTACT
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Monday 11 June 2018



























いくつもの世代の審美眼を越えてきた服への尊敬は尽きる事がありません。更にはこれからいくつもの世代の審美眼を越えていく大きな可能性を持つ服が在る事は、私はもうこれは奇跡でしかないんじゃないかと思うんです。特に大きな戦争を1つも2つも越えてきた服に対して強くそう思います。このリネンのダスターコートも長い長い時間を超えてきた偉大な1着。こういう服への尊敬の念は同時に服の作り手に対するものでもあり、また素材に対する尊敬でもあります。数十年、時には百年以上も昔に生まれたものが現代人にとても強い刺激と心地の良い時間を与えてくれて、日常の生活を豊かにしてくれる強靭な服たち。よくぞここまで耐えてくれた。生きててくれて有り難う。大好き。

私自身はシンプルで素朴な服を愛してきて10年以上が経ちますが、こういった強靭な服1着1着に対する感動は全く廃れる事がありません。シーズンによって気分がころころと変わって、去年の服よ、はいさようならという風に、全然なりません。私にとって向こう数十年にも耐えていくであろう服を少しずつ選んでいく行為は、自宅の家具を数十年かけて揃えて自分にとって理想の空間を作っていく行為に似ているかもしれません。自宅の器を数十年かけて揃えて自分にとっての理想の食卓を作っていく行為に似ているかもしれません。そんな感覚で、これからも人に寄り添うような素朴で美しいものを変わらずに選んでいきたいと思います。自由で多様な価値観が在って良い時代の中で、私は持続の美学という一種の古い価値観を見つめていきたいと思います。


1900-1910's French Linen Duster Coat with Ceramic Button : LILY1ST VINTAGE
※この服はアポイントの上、東京は渋谷のショールームでご覧頂く事ができます >>> CONTACT
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Saturday 5 May 2018



























この1足をフランスの蚤の市で見つけた時、ソールにはアイススケート用の刃がネジ留めされていた。靴としての実用性を復活させたいという考えから、この刃を取り外しソールの交換をしてこの1足を競技靴からタウンシューズに復活させる発想が浮かんだ。同じ蚤の市でアンティーク金具を扱う店主を発見し、事情を話すと自らの商品であるアンティークのドライバーを貸してくれた。時間を掛けておよそ100年間ソールに付いていたネジを回しながら、自分なりに当時この1足を履いていた男性の事を想った。取り外す事ができたアンティークの刃は、ドライバーを貸してくれた店主に贈った。金具は彼の専門だったので、喜んでくれた。20ユーロで売るとしようと言っていたのが印象的だった。今頃あの刃がちゃんと売れていると私も嬉しい。この靴を日本に持ち帰り、技術力の高い著名な職人に依頼してイギリス製のヒールに取り替えてもらった。ソールにはハーフラバーソールを。たった1足の靴を選んでから日本で御客様の元に届くまで3ヶ月ほどが掛かった。1点1点が銘もない時間を経て欧州から日本に辿り着く。



1920-1930's French Kangaroo Leather Lace-up Boots : LILY1ST VINTAGE
※この靴はアポイントの上、東京は渋谷のショールームでご覧頂く事ができます >>> CONTACT
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Thursday 3 May 2018



















当時肉屋のための労働着として作られたこの1着は、写真家アーヴィング・ペンやアウグスト・ザンダーのポートレート作品を私に鮮明に思い出させてくれるようなものだった。過去には当たり前に作られていた生地かもしれないが、現代人の価値観や現代の水準ではなかなか見る事のできないヘンプ混の生地とフォルム。何十年もかけて服をいじめてあげなければ成熟が訪れないような生地であり、服かもしれない。成長期と、成熟期と、衰退期がちゃんとある、生きている服だった。



1950s Dead Stock French Hemp Mixed Butcher's Uniform Coat : LILY1ST VINTAGE
※この服はアポイントの上、東京は渋谷のショールームでご覧頂く事ができます >>> CONTACT
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com