Monday 25 September 2017

to Make Identity After Adolescence

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心理学者のエリクソン(1902−1994)以前には辞書に無かった言葉『identity / 自分が自分であるという感覚、信念』。語源は『identify / 物事を識別する、あるものの特性、本質をあきらかにする』という事だそうです。名詞は『identification / 身分証明』となります。『ID(identification) Card / 身分証明書』と呼ぶように、その人がその人である事、他の人ではない事を特定するという意味です。

エリクソンが示したこの概念の語源となった『identify / 物事を識別する、あるものの特性、本質をあきらかにする』という考え方は私たちの持つ物事に対する物差し、態度、審美眼にも十分に繋がり得る概念だと思うのです。ここで考えるのは、私たち1人1人の審美眼がidentityの元にもなり得る1つだという可能性です。

私たちがどんな服やどんな服の作り手を見て何を見ないか、様々な服や服の作り手をどう識別または認識するか、どんな審美眼を築いていくかという事もきっとその人がその人である事、他の人が他の人である事の特定に繋がり得るのではないでしょうか。自分はどんな物や事に美しいという感情を抱き、どんな個性やまた欠点を持っているか、自分はどう在るべきか、もしも服に対するものの見方からそんな事を考えられたとしたら、自分の内面が少しでもより豊かになり得るのだとしたら、服の力は表面的に私たちを飾るだけのものではない、寒さや暑さを凌ぐだけのものではないという事になります。服の力、服の作り手の力、人間の想像力の事を1から根源的に考えていきたいと思うのです。





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Stockist : BLOOM & BRANCH >>> http://bloom-branch.jp
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com