Saturday 5 May 2018

Remind Something Story

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この1足をフランスの蚤の市で見つけた時、ソールにはアイススケート用の刃がネジ留めされていた。靴としての実用性を復活させたいという考えから、この刃を取り外しソールの交換をしてこの1足を競技靴からタウンシューズに復活させる発想が浮かんだ。同じ蚤の市でアンティーク金具を扱う店主を発見し、事情を話すと自らの商品であるアンティークのドライバーを貸してくれた。時間を掛けておよそ100年間ソールに付いていたネジを回しながら、自分なりに当時この1足を履いていた男性の事を想った。取り外す事ができたアンティークの刃は、ドライバーを貸してくれた店主に贈った。金具は彼の専門だったので、喜んでくれた。20ユーロで売るとしようと言っていたのが印象的だった。今頃あの刃がちゃんと売れていると私も嬉しい。この靴を日本に持ち帰り、技術力の高い著名な職人に依頼してイギリス製のヒールに取り替えてもらった。ソールにはハーフラバーソールを。たった1足の靴を選んでから日本で御客様の元に届くまで3ヶ月ほどが掛かった。1点1点が銘もない時間を経て欧州から日本に辿り着く。



1920-1930's French Kangaroo Leather Lace-up Boots : LILY1ST VINTAGE
※この靴はアポイントの上、東京は渋谷のショールームでご覧頂く事ができます >>> CONTACT
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com