Showing posts with label LILY1ST VINTAGE for INSIDE MY GLASS DOORS. Show all posts
Showing posts with label LILY1ST VINTAGE for INSIDE MY GLASS DOORS. Show all posts

Friday 31 August 2018

現代で求められているような着ていて楽な服、リラックスできる服とは対極にある服をご紹介します。重量もあり、生地も硬く、自分の身体にフィットする一着になるまでにはこれから更に長い時間を要するかもしれません。その意味で自分に負荷を掛けていくスパルタ的精神の持ち主にお勧めしたいコートです。現代でそんな人間がいるのかどうか。





















Style
Coat : LILY1ST VINTAGE
Shirt : Maison Martin Margiela
Trousers : KNITOLOGY
Sandal : LILY1ST VINTAGE









1930ー1940年代イギリスのダック地モーターサイクルコートです。当時バイクに乗る際、長旅をする際に着用されたモデル。1920年代から1930年代のスタイルとして、過去の資料に類似デザインのコートが見られます。縫製から当時のホームメイド品と推測される1着。一般的なセンスではなかなか衣服には採用されないようなヘビーオンスのダック地が採用され、個人的なセンスと美意識が光ります。



1930-1940's British Motorcycle Coat by Homemade : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>>https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>>http://nakanishihiroyuki.com







Tuesday 21 August 2018

ワークウェアがワークウェアとしてか見られない事、ミリタリーウェアがミリタリーウェアとしてしか見られない事、どんなに素晴らしい服もそれが古着だという理由で古着としてしか見られない文化はまだまだ根強い。まだまだ古着やビンテージはコアな世界という一般的なイメージを振り切る事ができないでいる気がします。分かる人だけに分かれば良いという世界観だ。どうしたら狭い世界に閉鎖された古着を解放していく事ができるのだろう。過去にはこんなに素敵な服たちが点在して眠っているのに。過去に点在している美しい服は私などの只のつまらない個人の主観などどこまでも超えていく力があるのに。





















Style
Coat : LILY1ST VINTAGE
Inner Jacket : LILY1ST VINTAGE
Shirt : Maison Martin Margiela
Trousers : KNITOLOGY
Sandal : LILY1ST VINTAGE
















取り外し可能なアンブレラヨーク付き仕様。









今日は1930ー1940年代フランスのブラウンダックハンティングコートをご紹介します。深い傾斜のあるラグランスリーブは現代の視点で見ても洗練性があり美しいシルエットを生んでいます。非常に古いワークウェアのディティールであるチンストラップは防風性を高めるために備えられ、袖にもベルテッドデザインが採用された特別な仕様。ハンティングやアウトドア向けのパンツのディティールとしてダブルニーという膝の布が二重構造になっているものが存在していますが、このコートの肘領域は同じく二重構造となっており、ダブルーニーならぬダブルーエルボーと言った珍しいディティールも。当時のカントリージェントルマンによるビスポークと推測される1着。織り密度の高いダック地は防風性に優れており、インナーとの組み合わせによって秋口から冬にかけて着方を変える事ができ、超アナログなアウターながら、現代アウターとしても秀逸な機能を備えている点も魅力。およそ80年という時間による淘汰に耐え抜いており、デザイン強度、機能的強度、物質的強度としての普遍性を十分に持っている事を証明する逸品です。



1930-1940's French Brown Duck Hunting Coat : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com







Sunday 19 August 2018

美しい服を作る者の中には、どんな知性が働き、どんな感情が働いていたのだろう。そんな想像をしながらフランスで選んだ1着は、1960年代イタリア製ディアスエードのドリズラーブルゾンでした。























イタリアならではの上質な革質、洗練されたパターン、クラシックデザインは現代でも古さを感じさせない普遍的なもの。このようなヴィンテージウェアは運転時やスポーツ観戦をする際などヨーロッパでは広く親しまれており、特に90年代以降はタウンウェアとして着用される事も定番となっています。現代服にはない渋い発色と経年変化による革のくたれ感も魅力。



1960's Italian Deer Suede Driver's Blouson : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com



Style
Coat : LILY1ST VINTAGE
Shirt : Maison Martin Margiela
Shorts : LILY1ST VINTAGE
Sneaker : MJUI LABO




Friday 17 August 2018

自分が美しいと思う服が5年後、10年後、30年後にも同じように美しいと思う服、美しいと信じられる服。そういうものを選び続けたいです。誰よりも自分自身が飽きない服を選びたいと考えています。INSIDE MY GLASS DOORSの店主や彼等の元を訪れる御客様にご提案させて頂く服はいつも不変の美を備えるものです。シンプルで、一見するだけでは退屈でもあるため、またこういう服かと思われてしまう服もきっと中にはあるのでしょうが、それを変わらずに続けている事は、私が提案したい美しい服がこの8年間一貫して同じ基準を備えているためです。







私が築いていきたいのは、1つの不変の美学です。大切なお店で、ものを通して大切な方と繋がり、お店やお店の人や服から小さなインスピレーションが生まれてくれれば嬉しいです。皆様のご来店をお待ちしています。


INSIDE MY GLASS DOORS
URL >>> https://www.insidemyglassdoors.com
INSTAGRAM >>> https://www.instagram.com/insidemyglassdoors/
ONLINE SHOP >>> http://www.insidemyglassdoors.net
OFFICIAL BLOG1 >>> https://inside-my-glass-doors.blogspot.jp
OFFICIAL BLOG2 >>> http://insidemyglassdoors8.blogspot.jp
Address >>> 3-1-16-102N Kyutaro-cho , Chuo-ku , Osaka , Japan
MAIL >>> info@insidemyglassdoors.com
BUSINESS HOURS >>> 12:00-20:00
CLOSED >>> Wednesday




Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Sunday 12 August 2018

デザイナーの主観、表現、感情といった要素が一切排除された純粋な機能服であり、造形や装飾が極小化されたワークウェアやミリタリーウェアは、きっと向こう数十年という時間にも力強く耐えていくデザイン強度があります。





















もしもいつの日か服にもモダンデザイン、インターナショナルデザインという概念が生まれていくとすれば、それはワークウェアやミリタリーウェアから多く発見できるのではないだろうかと私は信じます。



1960's Dead Stock French Military Canvas Balmacaan Coat : LILY1ST VINTAGE
Stockist
trunk >>> http://trunk-fukuoka.strikingly.com
INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Carrefour >>> http://www.couleur-coltd.com
orlo >>> http://orlo-tokyo.com
UNITED ARROWS Harajuku >>> http://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com



Style
Coat : LILY1ST VINTAGE
Shirt : Maison Martin Margiela
Pants : Maison Martin Margiela
Sneaker : CONVERSE




Sunday 3 June 2018



















雨期に備えた異なる4型をフランスとイギリスから厳選しました。



1970’s British Busman’s Nylon Work Coat , e.t.c.. : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Tuesday 29 May 2018



















このスモックは着れば着る程に、洗濯すれば洗濯する程に風合いが増して自分の肌に馴染んでいく素晴らしい生地を体感してもらえる1着だと思います。デッドストックのデニムを早く自分の身体に馴染ませたくて、自分だけのヒゲを出したくて寝ても起きても同じデニムを履き続けていた経験がある人も服好きの方では少なくないのではないでしょうか。私はこの1着の生地に触れて美しいあたりや生地の変化を想像しながら、自分の若い頃の記憶を思い出しました。ヘンプ地はよく冷え、吸水性発散性共に素晴らしいため国内外では昔から衣食住様々なものの繊維として活躍していました。ヘンプ地にコットンのおよそ4倍の吸水力がある事、雑菌効果やマイナスイオン効果がある事、栽培中植物の成長過程では土中の有害物質を光合成により無毒化する作用がある事など実に様々な科学的証明もされているようです。これだけの科学的な証明もあれば、ヘンプが日本では昔から依り代と呼ばれていた事も腑に落ちる気がします。


ヘンプ地はそもそも糸自体が機械で『紡がれる』わけではなく、基本的に人の手によってな膨大な時間が掛けられて『績まれる』ものである事、技術者も少なく人件費の概念も全く変わってしまった現代では着尺が作られる事すら実現が困難なものである事を考慮するとこの1着がどれだけ貴重なものであるかは想像に難しくありません。しかし自分の感覚と頭で本当に感じたり考えたりしたいのはこの1着が『ただ貴重』なだけではなく『どう貴重』なものなのか。そして『この服が現代で自分にとって何になるのか』『何故自分はこの1着を買うのか』という事ではないでしょうか。過去の人間が植物や糸や生地や服を生み出すために掛けた知恵や手間を自分なりに調べてみたり、また彼等が注いだ時間や価値観を自分なりに想像しながら1着1着の価値を自分で決定していく事も古い服の楽しみ方の1つかもしれません。



1900-1910's French Military Hospital Hemp Work Smock : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Friday 25 May 2018



しかし暑い日やら寒い日やら交互にきてかないません。ボーっとして思考が奪われる感じ。やらなければいけない事はあっても時間がだらだらと過ぎてしまう。。そんな季節に思考や体力を取り戻していくには、やはり自分が毎日ほとんど24時間身に纏っている服への意識からではないでしょうか。いや食からだ、とみんな言うかもしれませんが、私はあえて衣からと言いたいと思います。明日5月26日(土)より大阪丼池のINSIDE MY GLASS DOORSからLILY1ST VINTAGE 2018年第2回目の春夏セレクションの販売が始まります。今回これからの季節にお楽しみ頂ける服で構成させて頂いたセレクションをご用意しましたが、中には大麻の布が用いられた服も含まれています。大麻布の価値や有用性は現代の傾向ではほとんど無視されたものですが、大麻布は日本を含め世界中の国々の伝統文化や生活文化と密接な関わりを持つ生地でした。着用者に対してはこの植物のようにまっすぐに育って欲しい、丈夫に育って欲しいと願いを込められて衣類に大麻布が用いられた精神的な時代もありました。時にはそういった文化的側面を意識できる服にでも触れながら考える力を取り戻してこの季節を乗り切りませんか。(ざるそば、ポカリももちろん有効だと思いますが。)皆様の普段の何気ない時間の中でも、お店やお店の人や服から小さなインスピレーションが生まれてくれれば嬉しいです。皆様のご来店をお待ちしています。


INSIDE MY GLASS DOORS
URL >>> https://www.insidemyglassdoors.com
INSTAGRAM >>> https://www.instagram.com/insidemyglassdoors/
ONLINE SHOP >>> http://www.insidemyglassdoors.net
OFFICIAL BLOG1 >>> https://inside-my-glass-doors.blogspot.jp
OFFICIAL BLOG2 >>> http://insidemyglassdoors8.blogspot.jp
Address >>> 3-1-16-102N Kyutaro-cho , Chuo-ku , Osaka , Japan
MAIL >>> info@insidemyglassdoors.com
BUSINESS HOURS >>> 12:00-20:00
CLOSED >>> Wednesday




Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Saturday 17 March 2018



















このパンツはフロント膝部分が二重に補強されたダブルニーという仕様だったもの。どうやら元の所有者によって2重だった上の布がカットされて下の布が露出したものと推測される。露出を想定していなかった下の布上に浮き彫りとなったデザインという概念とは異なる幾何学や処理されていない切りっぱなしの布が興味深い表情を見せている。服作りに携わった人間の気配、以前服を着ていた人間の気配、現代でこの1着を選ぶ人間の想像力、この掛け合わさりで服の輝きが変化していくのだと思う。動きある過去の人間のイメージ。動きある過去の時間のイメージ。動きある過去の場所のイメージが浮かんでくるような、現代人の様々な想像力を掻き立ててくれる服になるかもしれない。



1950-1960's U.S Brown Duck Hunting Trousers by Duxbak "Lost Leather Patch" : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Saturday 10 March 2018



















ラルフローレンのデニムシャツよりも更にヘビーオンスのモデルはコットンドリルクロスが採用されたもの。現代服には無い生地の重さがあり、非常に無骨な1枚。





1960's Dead Stock British Royal Army Cotton Drill Shirt : LILY1ST VINTAGE
Stockist
INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
orlo >>> http://orlo-tokyo.com
trunk >>> http://trunk-fukuoka.strikingly.com
BLOOM & BRANCH >>> http://bloom-branch.jp
UNITED ARROWS Harajuku >>> http://store.united-arrows.co.jp/shop/ua/
ISETAN SHINJUKU Men's >>> https://www.imn.jp
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Sunday 25 February 2018




























杢糸が用いられた大変珍しい生地が採用されたデッドストックの1着。興味のある方は顕微鏡でその世界を覗いてみても面白いかもしれない。3−4色の糸から形成された特殊なブラウンダックは見る角度や日の光、時間帯によって様々な印象、発色を見せてくれる生地である。現代でもモダンと捉える事ができる秀逸なパターン、そして膨大な縫製行程によって実現された強度の高い服は物質的にも向こう20年30年に耐えていくと思う。またデッドストックという要素がこの1着が本来持つエレガンスを保たせており、服を楽しむ者の品格を考えさせてくれる。

好き好んでした訳ではないが、私は先日生まれて初めて家の床下に潜入した。するとそこには面白い世界があった。床を土台が支えていて、土台を基礎が支えていて、基礎を土が支えていた。アナログな構造だが、木造建築ではどれも人が床を歩くために、そして人が生活するためには必要不可欠なものだ。出発点は土であり、土壌なんだと当たり前の事を再認識した。土があって初めて基礎があり、基礎があって初めて土台、そして床を築く事ができる。もし人にも土や基礎や土台や床があるとするなら、衣食住にまつわるものはみんな人の土に影響を与えると私は信じている。服は所詮服だ。しかしされど服でもあるんだ。人間が毎日ほとんど24時間身につけているものとは、一体本当に何なんだろうか。




1950's Dead Stock French Brown Duck hunting Jacket : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Friday 23 February 2018


Coat for INSIDE MY GLASS DOORS




Jacket for orlo



明日2月24日(土)より大阪丼池のINSIDE MY GLASS DOORSと東京吉祥寺はorloからLILY1ST VINTAGE 2018年春夏セレクションの販売が始まります。INSIDE MY GLASS DOORSというお店に在るのは様々なインスピレーション源だと思います。インスピレーションというのは、私たちが自覚的に、または無自覚的に持っている『何かを好きだ』という感覚が繋がっていく連鎖の事です。orloというお店に在るのは過去の格好良いオヤジたちが持っていたダンディズムという考え方や態度を現代的に継承していく姿勢だと思います。これらはどちらも私の勝手な解釈です。服やお店に立つ人間を通して皆様と様々な共振ができる事を願っています。皆様のご来店をお待ちしています。


INSIDE MY GLASS DOORS
URL >>> https://www.insidemyglassdoors.com
INSTAGRAM >>> https://www.instagram.com/insidemyglassdoors/
ONLINE SHOP >>> http://www.insidemyglassdoors.net
OFFICIAL BLOG1 >>> https://inside-my-glass-doors.blogspot.jp
OFFICIAL BLOG2 >>> http://insidemyglassdoors8.blogspot.jp
Address >>> 3-1-16-102N Kyutaro-cho , Chuo-ku , Osaka , Japan
MAIL >>> info@insidemyglassdoors.com
BUSINESS HOURS >>> 12:00-20:00
CLOSED >>> Wednesday




orlo
URL >>> http://orlo-tokyo.com/
INSTAGRAM >>> https://www.instagram.com/orlo_kichijoji/
ONLINE SHOP >>> http://orlo-tokyo.shop-pro.jp
Address >>> Address / 2-26-9-103 Kichijoji-Honcho , Musashino-city , Tokyo , Japan
BUSINESS HOURS >>> 12:00-20:00
CLOSED >>> Tuesday




Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Tuesday 20 February 2018



























当たり前過ぎる事かもしれないが、自分の目の前に在るもの、現れたものに対してどれだけ大切に捉える事ができるかは自分の想像力と集中力によって変わる。今日食べる事ができた白米とキャベツの千切りと東京Xの生姜焼きとみそ汁と大根の漬け物。身につける事ができたアカミネ・ロイヤルラインの白シャツ、L.LBEANのメルトントラウザー、ハイカットのオーススター、古いベルト。展示会に足を運んで頂いた方々。外より寒いのではないかと思う古い小さな木造の自宅。一緒に過ごしてくれた家族の存在の大切さ。等々。

つい二日前に偶然出会った1940年代にデンマークで製作された2脚の椅子に感動して、自分の自宅での生活や仕事のスタイルの在り方を想った。昨日には既に完売になっていて、自分の物と対峙する際の集中力の無さと貯金残高の低さを悔いた。自分の目の前に在るもの、現れたものの大切さはそれがなくなってから初めて感じる事ができるという考え方も広くあるが、私たちはそれらの大切さに対する意識を常にもっと高めていかなければいけない時期にきていると思う。そうでなければ、人間1人1人が本来持っている豊かな感性が腐っていってしまう。自分の近くに在る人や物や体験がどれだけ有り難い ー有る事が難しいー ものなのか。この当たり前過ぎる視点は周りの人間にも、あらゆるものにも、現代服にも、もちろん過去の服に対しても同じだ。10年という時間、30年という時間、50年という時間は短い時間ではない。何人もの人間が1着の製作や保存に携わり時代や大陸を超えて今尚輝いている服が偉大である理由がここにある。更には大きな戦争を1つ超えてきたもの、即ち1940年代以前に製作されたものや、大きな戦争を二つ超えてきたもの、即ち1910年代以前に製作されたものの存在の意味合い、生存確立は異次元のものになる。1着1着の存在は決して当たり前ではない。何処か遠くへ行ってしまった2脚の椅子を思い出してこんな当たり前の事を思った。





1970's British Royal Air Force Jacket "Restitched Hemline" " Rare Color" : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Friday 26 January 2018











































他人から自分に掛けられる負荷と、自分で自分に掛ける負荷とでは生じるストレスが違う。1人の現代人にとって心地よい負荷となる事を願って提案する服は1940年代デンマーク軍モーターサイクルコートだ。イギリス軍ロイヤルアーミーのモーターサイクルコートは著名なモデルだが、この1着は当時デンマークがOEMのような形でイギリスの工場に外注してイギリスで作らせたものと推測される。非常に分厚いゴム引きとデニムのようなコットン地を重ねた構造の生地で非常に分厚く硬いため現代リアルシーンでは着用が困難なモデルだが、本品は元々の糊を極限まで落とした事、ライナーのいくつかのパーツを取り外し重量が極限まで削がれ多少の柔軟性も生まれており、また大変珍しいグレーカラー、最小サイズによるサイズ感の現代性も相まって現代リアルウェアとしてご提案できると考えたもの。私自身この30年で1度だけで良いので提案してみたかったものであるが、貴重というだけで服を選ぶ訳にはいかない。厚い、重い、硬い、デカいの4拍子揃ったこのモデルを選ぶ事がどうしてもできなかった。その為、額面通り、私にとってこれは30年に1着と呼べる逸品だ。掛け値はない。





1940's Denish Military with British Royal Army Motorcycle Coat " Rare Color" : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Friday 5 January 2018











雨季には定住し農作物を育て、乾季には川辺を畜牛の群れと一緒に流浪するような、季節の変化に大きく依存したライフスタイルを持つとある民族による手彫りのバングル。とある民族は家畜である牛との関係が密接であるのが特徴的な部族だ。彼等には彼等の装飾欲や美意識の概念があり、男性または女性としての美しさを引き出すため、また民族への帰属、農業の豊作への祈り、家族繁栄やその祝福など様々な理由からアクセサリーが身につけられている。また現地ではバングルをきつく絞めることによってできる腕の膨らみが美しいとされる概念も存在する。時代や土地によって様々な概念があるが、時間によりそれが薄れた事も助けて現代人はそれを純粋に美しいものとして自分自身の自由な発想で様々なスタイルに合わせる事ができる。デザイン、商業という概念とは全く異なるものをどこまで考えて楽しんでいけるかはきっと現代人の眼差しいかんによる。





1950-1970's A Tribe Aluminum Bangle "Handmade" : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com





Tuesday 21 November 2017



大阪のINSIDE MY GLASS DOORSで昨日までの4日間のみ開催されました企画が無事終了しました。とても多くの御客様に足をお運び頂きすべての服たちが御客様の元に届いたイベントになったとの事で、皆様に心からの御礼を申し上げます。もしも私たち自身の心が揺れ動く1着に対して誰かの心も動いたとすれば、それはお店に立つ人や空間や服を通して皆様と心の共振ができた事になるのではないかと信じています。これからも皆様やLILY1ST VINTAGEお取扱店舗と一緒になって服の根源的な力について考えを深め、これを追っていきたいものです。全霊を込めて1着ずつ服を選びご提案をして参りますので、何卒今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

Photograph : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com





Saturday 18 November 2017



























ファストファッション全盛期の現代では、服を使い捨てるという考え方も一般的となっています。服はある程度着用と洗濯を繰り返すと劣化して新品状態時の輝きを失ってしまいますが、個体の修復や保存よりも新しい1着を買い直すほうがコストが少ないため、劣化した1着を捨ててしまうという考え方です。服の寿命が数年単位になると着用時間対コストの考え方、服の寿命とコストの関係が簡単に転換していくという事も広く認識されている時代ではありますが、まだまだ個人レベルで推奨されている程度で大きな運動にはならない時代というのが現代ではないでしょうか。ここでも小さな足掻きの域は出ませんが、それでも私たちが継続的に持っている思想上の立場、また常にもっている主張をこの4日間の企画にも込めています。『現実に70年、50年、30年というという時間に力強く耐え抜いてきた服』に触れて頂き、皆様と共振できる事を願っています。





1980's Oiled Cotton Trench Coat by Barbour : LILY1ST VINTAGE
Stockist : INSIDE MY GLASS DOORS >>> https://www.insidemyglassdoors.com
Photograph : Hiroyuki Nakanishi >>> http://nakanishihiroyuki.com